連帯債務③
連帯債務の内部の求償関係等について整理します。
連帯債務者の1人が債権者に弁済を行ったとき、他の債務者に求償できる。求償の額は、各々の負担部分に基づく。
求償の範囲…弁済金、法定利息、避けられなかった費用、損害賠償
負担部分…債権者と連帯債務者の合意に基づく。特に定めのない場合は平等となる
求償を行う連帯債務者は、弁済の前後(どちらも)に、他の債務者に通知を行う必要がある。
→弁済前に他の債務者が相殺等を行えるようにする、弁済後に他の債務者が二重に支払いを行うことを防ぐため。
無資力者がいる場合…求償者及び負担部分のある他の債務者が、負担部分に応じて弁済する
負担部分のある者のうち、一部が無資力の場合
…負担部分のない債務者に対して、平等負担を請求できる。
ex)ABCはDに対して60万円の連帯債務を負っている。負担部分はA:B:C=1:1:0である。Aが60万円を弁済したが、Bは無資力であった。
→Bは本来負担するべきであった30万円をAとCで平等負担する。よってAはCに15万円を求償できる。
連帯の絶対的免除…連帯債務者全員の債務が分割債務となること
連帯の相対的免除…免除を受けた者は分割債務を負う。他の債務者は依然として全額につき連帯債務を負う。
ex)ABCがDに対して60万円の連帯債務(負担部分平等)を負い、AがDから連帯の免除を受けた。その後、Bが60万円をDに弁済したが、Cが無資力に陥った。
→Cが無資力のため、ABは本来、30万円ずつ負担することになる。Aは連帯の免除により20万円を弁済すれば足りるため、残りの10万円は債権者Dが負担することになる。
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これらを読んだだけで問題がすらすら解けるほど頭脳明晰でないので、
問題を解きながら覚えていこうと思う。
連帯債務②
連帯債務における絶対効の事由についてまとめます。
①弁済・代物弁済
連帯債務者の1人が債務の全部または一部を弁済すれば、他の債務者も免れる
②更改
債務を金銭債務ではなく、連帯債務者の1人の土地の引き渡しに更改すると、他の債務者も債務を免れる
③相殺
連帯債務者の1人が相殺を援用すると債務の全体額を減少させることができる。
なお、相殺できる反対債権をもつ連帯債務者が相殺を援用しない間、他の債務者は、自己の負担部分に応じて援用ができる
④混同
連帯債務者の1人が債権者を相続したとき、他の債務者は債務を免れる
⑤免除
連帯債務者の1人に対して債務を免除すると、他の債務者で依然同じ額の連帯債務を負うことになる。
残された債務者は、免除を受けた債務者に対して、免除を受けた債務者の負担部分に応じて求償可能。
☆消滅時効
2020年の民法改正により、絶対効ではなくなった。
総債務は減少せず、残された債務者は全額を連帯債務として負う。
☆請求
民法改正以前は、絶対効力事由として、連帯債務者全員の債務につき消滅時効の中断事由となっていた(全員が履行遅滞に陥ることになっていた)。改正後は相対効となった。
連帯債務①(行政書士の勉強④)
連帯債務の概要をまとめてみます。
テキストを見ずにどこまで書けるかな?^^;
☆連帯債務
…複数の債務者が連帯して債務を負う形態の債務。債務者の一人が全額弁済すれば他の債務者も債務を免れる。なお、各債務者の負う債務の性質は統一的でなくてよい(独立性がある)。
つまり、各債務の成立時期や特約の有無などが異なっていても良いということである。
また、一つの債務について生じた事由(無効・取消しなど)は原則として相対効(他の債務に影響を及ぼさない)である。
各債務者は、他の債務者が有する相殺以外の抗弁(同時履行の抗弁など)を援用することはできない。
☆債権者による請求
…全てor一部の債務者に、債権の全部or一部を請求できる。
また、全部or一部の債務者が破産したときは、各破産財団の配当に加入することができる。
次回は連帯債務の相対効の例外についてまとめます。
「静かな人の戦略書」から考えたこと①
外向型と内向型について書いた記事に「静かな人の戦略書」の内容を挙げましたが、
この本の続きを読んだのでアウトプットしてみます。
内向型には、揉め事(他者とぶつかり合うこと?)が苦手という性質がある。
その例で挙がっている、内向型人間「アリス」の事例。
アリスは金融機関でアシスタントマネージャーとして働いており、自分が周りに溶け込めているかをよく気にする性質だった。
ある日、アリスが連絡係となっている仕事(他部署と協働している)で、顧客とのトラブルが起こった。
原因はアリスではなく、他部署の人間がアリスの指示を誤解したことによるものだった。
アリスは組織に波風を立てたくないという性質を持つ人で、
他部署の人間が憂き目にあうことを気の毒に思ったため、
「自分の指示が良くなかった」ということにして、丸く納めることにした。
ところが、アリスの上司の見解は違っていた。
向こうの部署が起こしたミスをアリスが被ることで、アリスの部署全体が責任を負うことになりかねない。そうすれば、アリスはもっと深刻な窮地に立たされるかもしれない、というのだ。
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わたしはアリスに共感した。
同僚と共同作業をしているときに、相手がミスを起こしたら、あなたは悪くないと庇ってしまう気持ちはよくわかる。
波風を立てない方が、その人との人間関係が拗れなくて済むと思うし、本来おおごとにするようなことじゃないことで騒いでしまったりしたら、非常に気まずい思いをするからだ。
ただ、アリスの上司の見解のとおり、その場を丸く納めたとしても、むしろそれによって起こってしまう問題がある。
著者のジル・チャンさんは、こうした事態の解決法について4つ、挙げている。
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①事態を冷静に見るため、一旦その場から物理的に離れ、気持ちを落ち着ける
②トラブルになった相手の話を、遮らずによく聞きつつ、問題の原因を探る。意見の一致を生む余地を残しておく
③コミュニケーションの機会だととらえ、自分の意見を述べてみる
④気持ちの上で、過去のトラブルに囚われないようにする
また、内向型人間は、文字のコミュニケーションは得意な傾向にあるが、直接の会話をすることの有益性にも着目すべき、という主旨のことも述べられている。
例えば、言葉や商慣習の違うもの同士のやり取りでは、文字以外に伝わる情報(身振りや表情)もまた、相手の真意を汲み取る重要な要素になるからだ。
PCの前を離れ、オフィス内を歩いて、同僚たちと直接・個別に話してみよう。
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これらのことはきっと、外向型の人が自然とやっていたりすることなんだろうな、と想像した。
ジル・チャンさんのアドバイスは、「外向型になるにはどうしたらいいか」という視点ではなく、
内向型がオフィスで気をつけるべきポイントが何で、それに対してどういう戦略を取るべきか?という視点なので、新鮮な感じがする。
ただ、Amazonのレビューには、「それができたら苦労しない」みたいなツッコミもあって、
うーん、たしかに、、、とも思った😅
周りとコミュニケーションを取ることのメリットや、心を静かに保ちつつ事態に対処する方法を教えてくれる本なのだと思う。
債権者代位権と詐害行為取消権(行政書士の勉強③)
債権者代位権と詐害行為取消権の問題を解いたのでこれらの論点をまとめてみます。
要件
①金銭債権である
②被保全債権が金銭債権である
③債務者が無資力である
④弁済期が到来していない
⑤一身専属権でない
行使の仕方
・裁判上、裁判外の両方で行使が可能
・債権者の名義で行使する
・代位の目的が動産、金銭債権の場合は「債権者に直接弁済せよ」と請求することができる(→事実上の優先弁済となる)
・代位の目的が不動産の登記移転請求権の場合は債権者に対して履行させる意味がないので債権者への直接の履行を命じることはできない
効果
・行使の範囲は被保全債権の範囲に限られる(被保全債権の額を超えることができない)
・債務者は代位行使の目的債権の処分権限を失う
・代位行使後に得られた財産は、全ての債権者のための責任財産となる
【債権者代位権の転用】
金銭債権以外にも転用できることがある。
なお、これらの場合は無資力要件が必要ない。
①不動産の登記移転請求権
②債権の譲渡通知請求権
③所有権に基づく妨害排除請求権
☆詐害行為取消権
要件
②詐害行為以前に被保全債権が成立している
③債務者が無資力である(債権者代位権と共通)
④債務者に詐害意思がある
⑤受益者・転得者の悪意
⑥詐害行為が財産権を目的とする
行使の方法
・裁判上でのみ行使できる
・取消し対象の債権の目的物が金銭、動産の場合は債権者への直接履行を請求できる
・不動産の登記移転請求の取消の場合は債権者に直接履行せずとも目的が達成できるため
効果
・被保全債権の範囲に限られるが、取消権行使の目的債権の目的物が不可分のときは、目的物の全体に取消しの効果が及ぶ
・総債権者のための責任財産となる
「限りある時間の使い方」感想②
p95〜125を読んだアウトプットと感想です。
完璧主義に陥って、あれやこれやと手を出しすぎて何も片付かない状態から脱して、
思い切って優先順位を決め、同時進行するタスクの数を制限するべきだ。
なぜなら、人間の注意力には限界があるからだ。
人間はSNSなど、ふと注意を奪われたものに何時間も時間を取られてしまうことがある。
その時間は、自分の人生を生きていると言えるのか?
テック企業があの手この手で消費者の気を引く戦略を取り続けることに対抗しようとして、SNSを一切シャットダウンしようとしても、
余暇を持て余してしまう現代人は、やはりネットの世界に戻ってきてしまうことが多い。
人生とは、「その人が注意を向けたことの総体」である。
だから、自分が何に注力したいのかを先ずは見極めて、それに時間を割くべきなのだ。
ボトムアップ型で思考し、ネットの情報や外界の情報につられて行動を起こすのは、生物としての本能ではあるが、
トップダウン型の自発的な注意力を持つことで、人生の質を上げることができる。
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人生は自分が注意を向けたことの総体だという定義づけが新鮮に感じた。
私を含め、多くの人にとって、人生はベルトコンベアを流れるように過ぎがちだと思う。
流れに乗った方が、考えなくていいから楽だ。
でも、それって自分の時間を社会から消費されているのと同じじゃないか?
ネットで知った他の人のやっていることや、生き方を安易に真似するのではなくて、まずは自分は何がしたいのかを内観して、そこから時間を配分することが大切なのだ。
そうすれば、今自分のやっていることに意味が生まれ、楽しんで過ごすことができる。
要するにマインドフルネス?が必要だと言うことなのかな、と思った。
そういえば、オノヨーコさんが、
「人生を行進しながら進むのではなく、踊りながら進むのが好き」
というような、この本とは対極のことを言っていたのを思い出した。
自分はヨーコさんの言うことにも一理あると思っていて、
不随意的な注意力で世界を感じること、例えば、
ふとした時に季節の移り変わりを感じたり、道行く人のファッションから着こなしのヒントを得たりすることもまた、人生を豊かにすることではないだろうか?
もしそういった、外界を感じとる行為までトップダウン型の注意力で行うとしたら、あまりにも味気なくないだろうか?
でも、マインドフルネスを身につけた方が、いたずらに外界に反応する人生よりも、より心穏やかに生きられそうなのも確かである。
人生を管理しすぎずに管理する(何について管理的になるかをゆるく見極める)ことが大切なのかな、と思った。
特定物債権と不特定物債権か(行政書士の勉強まとめ②)
次は制限行為能力者について書くなんて言っていましたが、今日解いた問題の都合上、特定物についてまとめてみます。
特定物債権…当事者が物の個性に着目して引渡しを行う債権。
債務者は、目的物の引渡しまで、善管注意義務を負う。引渡し後は、調達義務を負わない。
また、引渡し時の現状で目的物を引渡せば、引渡し債務は免れる(不完全な物を引渡すと損害賠償が発生することもある)。
なお、特定物債権の目的物が当事者の帰責事由なく引渡し前に滅失または損傷した場合には、反対債務も消滅する(改正前民法では、債務者主義で反対債務は消滅しないとされていた)。
不特定物債権…物の個性に着目しないで行う取引により生じた債権。
同種のものが市場に存在する限り、売主は無限の調達義務を負う。
なお、特定が生じた後は、特定物と同じく、売主の善管注意義務が生じる。
特定が生じる要件は、
①債務者(売主)が物の給付に必要な行為を完了し、
②債権者(買主)の同意を得てその給付すべき物を指定したとき、である。
ここまでちょくちょくまとめたノートを見ながら書いてしまったので、
これからはノートを見ずにアウトプットできるくらいになる。(←断定形で書いた方が潜在意識に残ると聞いて実践してみた(^_^;))